研究課題/領域番号 |
11480144
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
香川 順 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90055955)
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研究分担者 |
成瀬 光栄 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (40120018)
萩原 啓実 東京工業大学, 生物実験センター, 助教授 (90189465)
福田 康一郎 千葉大学, 医学部, 教授 (10009649)
石原 陽子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50203021)
西川 俊郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50120019)
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キーワード | 内分泌撹乱化学物貭 / 肺の発生 / 3-メチルコラントレン / ジュチルベスタノール / 健康リスク評価 / アリルハイドロカーボンレセプター / 骨代謝 / 肺機能 |
研究概要 |
前年度の実験成績を基にジエチルベスタノール(DES)の濃度依存性の検討と、ダイオキシンの1種である3-メチルコラントレン(3-M)を用いて実験を行い、その作用機序と作用修飾因子について検討した。 1.BALB系マウスを用いて濃度依存性について検討した。正常分娩のいき値であるDES 10μg/kg及び1,0.1μg/kgのDESを交配後10日目より7日間腹腔内投与し、生後10日目の子マウスの体重、脾臓リンパ球表面マーカについてについて検討したところ、対照群と比較して0.1μg/kg投与群では体重及びT細胞サイブセットCD4/CD8比に明らかな差は認めなかった。 2.BALBマウスに3M1mg/kgを交配後10日目より7日間投与した際の、生後10日後の子マウスの体重は対照群と比較してやや低値を示したが、心肺組織のマクロ的形態観察では明確な影響を認めなかった。 3.F344ラットに交配後10日目より7日間DES 10μg/kgを腹腔投与し、生後20日目の子ラットの肺機能を無拘束下で測定したところ、体重100gあたりの一回喚気量が対照群に比しDES投与群でやや低値を示した。 4.破骨細胞形成についてダイオキシン受容体リガンドメチルコラントレンへの影響を検討したところ、3Mの1 nM濃度から多核破骨細胞の形成抑制が認められたが、形成された多核破骨細胞の活性(骨吸収)には影響を及ぼさなかった。 5.ダイオキシン細胞質内受容体であるアリルハイドロカーボンレセプター(AhR)への喫煙影響を検討したところ、肺、腎組織でAhR mRNA発現を認め、特に肺で慢性喫煙による発現量の増加を認めたことから、慢性喫煙が肺のダイオキシン感受性を増強する可能性が示唆された。 今後さらに、内分泌撹乱化学物質の濃度反応関係とその作用機序からの評価指標の探索及び複合暴露による修飾因子の影響についてデータを蓄積し、内分泌撹乱化学物質の肺の発生・構築・機能関連指標としての細胞および遺伝子レベル、機能レベルからの最適な健康リスク評価のあり方について検討する。
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