キノンプロファイル法による環境水中微生物群集構造変化の解析と予測モデルの構築

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11480149
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 後藤 尚弘 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50303706)
• 研究分担者: 藤江 幸一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30134836)
• キーワード: 微生物生態 / 群集構造 / 河川水 / キノンプロファイル / 浮遊微生物 / 付着微生物 / 水質 / プラストキノン

研究概要

本研究では環境水生態系の保全の観点から、環境水に棲息する微生物量およびその群集構造を解析するための簡易手法を確立し、微生物群集構造と水質および環境条件との関係を明らかにするとともに、微生物生態構造変化を予測するモデルを開発することを目的としている。
本年度は、河川水中汚濁物質の消長は浮遊微生物及び河床付着微生物に深く関わっており、河川水質変化の解析にはこれら微生物群集との関連付けが必要であると考え、河床付着微生物・浮遊微生物と水質との関係を検討するとともに、付着微生物及び浮遊微生物の特徴について比較を行なった。
愛知県豊橋市南部を流れ三河湾に注ぐ梅田川と豊川支流の宇利川から河川水及び河床付着生物膜(水深30〜50cmの河床1m2から石を10個以上)をサンプリングした。採取した石は実験室に持ち帰り、超音波・ブラシによって付着微生物を剥離してキノン分析に供した。
浮遊微生物のキノン量は場所によって大きく異なるが、付着微生物のキノン量についてはそれらの差は小さい。浮遊微生物の優占キノン種はユビキノン(UQ)-8であり、バクテリアの割合が高いと推測された。一方、付着微生物の優占キノン種は光合成に関係するプラストキノン(PQ)であり、藻類等が多いと判断された。浮遊微生物に比べて付着微生物ではキノン分子種が多いことも明らかになった。さらに、浮遊微生物及び付着微生物のキノン量とDOC濃度との関係を解析した結果、浮遊微生物は水中DOC濃度が高いほどキノン量が多くなる相関が見られるが、付着微生物量には相関が見られなかった。

研究成果

• [文献書誌] Hong-Ying Hu: "Development of a novel solid phase extraction method for the analysis of bacterial quinones in activated sludge with a higher reliability"J.Bioscience and Bioeng.. 87(3). 378-382 (1999)
• [文献書誌] Byung-Ran Lim: "PVA-coated activated carbon for aerobic biological treatment of concentrated refractory organic wastewater"Water Science and Technology. 42(3/4). 205-210 (2000)
• [文献書誌] Hong-Ying HU: "Characterization of microbial community in an activated sludge process treating domestic wastewater using quinone profiles"Water Science and Technology. 43(1). 99-106 (2001)
• [文献書誌] Byung-Ran Lim: "Effects of temperature on biodegradation characteristics of organic pollutants and microbial community in a solid phase aerobic bioreactor treating high strength organic wastewater"Water Science and Technology. 43(1). 131-138 (2001)
• [文献書誌] Kunihiro Tadao: "Comparative study on the community structures of suspended and sessile microorganisms in rivers based on quinone profile"The Proceedings of 5th International Symposium on Environ.Biotech.(Kyoto, Japan, July). No.O13-8 (2000)
• [文献書誌] Kunihiro Tadao: "Changes of microbial community structures in river following in domestic wastewater using quinone profile"3rd IWA International specialized conference on microorganisms in activated sludge and biofilm processes.(Rome, Italy). (2001)