研究課題/領域番号 |
11480150
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野島 哲 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30112288)
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研究分担者 |
森 敬介 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50243887)
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30291983)
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キーワード | 造礁サンゴ / サンゴ礁 / 群集構造 / 個体群動態 / 加入・定着 / 分散 / 多様性 / 共生生物 |
研究概要 |
非サンゴ礁域である天草、屋久島において、コドラート法、ライントランゼクト法、DV撮影法を用いて、造礁サンゴ群集の定量調査を行った。一方、サンゴ礁域である沖縄本島の瀬底島周辺において、同様の方法を用いて造礁サンゴ群集の定量調査を行った。これらの結果については現在もなお解析中であるが、これまで得られた結果によると、瀬底島周辺では、1970年代のオニヒトデによる食害から回復しつつあった造礁サンゴは、1998年夏の白化現象により破滅的な打撃を受け、その被度は数%にまで後退している。また、サンゴ礁の北限付近に位置する屋久島においても、1990年代前半の被度が白化現象の後には半分以下に減少している。一方北緯32度付近にある天草では、1998年夏の白化現象を殆ど受けず、むしろ被度は増加傾向にある。 瀬底島周辺でのサンゴの産卵は全く観察されず、また1999年初夏の新規定着加入は皆無で、この10年では最低の値を示した。一方、同じサンゴ礁域にありながら、白化現象の影響の少なかった石西礁湖では、若干の加入がみられた。また瀬底島周辺でのいずれの地点においても、1才の稚サンゴの密度は平方メートルあたり5群体前後で、サンゴ礁の回復には相当な時間を要することが推察された。 非サンゴ礁域の牛深周辺の海域において、幼生の保育習性をもつハナヤサイサンゴを非生息域へと移植し、親サンゴ周辺への幼生の定着、稚サンゴの加入状態を見たところ、親周辺への定着が多く見られ、距離とともにその加入密度は減少した。このことは、サンゴの移植に際しても移植間隔などを調節するなどの必要性があることを示唆している。
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