研究課題/領域番号 |
11480152
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
伊澤 雅子 琉球大学, 理学部, 助教授 (10192478)
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研究分担者 |
土肥 昭夫 九州大学, 理学部, 助手 (80091247)
太田 英利 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教授 (10201972)
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キーワード | 西表国立公園 / 島嶼生態系 / イリオモテヤマネコ / 環境利用 / 動物相 / 伝染性ウィルス / キシノウエトカゲ |
研究概要 |
1.西表島の中でも履歴、植生等の異なる西部白浜地区において、テレメトリー法および自動撮影法によるイリオモテヤマネコの行動圏および環境利用に関する調査を行なった。その結果、本地域はこれまで対象とした地域と異なり、イリオモテヤマネコの密度も安住性も低く、本種の個体群全体の生息地の中で周辺生息地としての役割を持っていると考えられた。 2.イリオモテヤマネコに病気を媒介する可能性のある移入種ノネコを対象に生息状況、ウィルス検査、活動範囲等の調査を行なった。その結果、西表島では人間の活動域を中心にかなりの数のノネコが生息していることがわかった。イリオモテヤマネコに関する検査からはウィルスへの感染は発見されず、西表島に生息するノネコも他地域と比較するとウィルス感染率が低いことが明らかになった。これは島嶼の閉鎖的環境の特性であると同時に、移入生物による脅威にぜい弱であるという保全上の問題点も示唆するものであった。 3.イリオモテヤマネコの追跡調査地の一つである、西表島北西部の船浦地区および浦内地区において、その主要な餌のひとつと考えられるキシノウエトカゲの生息状況についてラインセンサス法による調査を行うとともに、捕獲して測定する方法で個体群構造についてもデータを収集した。その結果、キシノウエトカゲの開けた環境下での生息密度は、自然林床における生息密度の8倍以上に達すること、7月上旬に孵化幼体の加入があることが確認された。 4.イリオモテヤマネコの生態学的特性を考える上で重要な繁殖に関する情報を収集し、整理した。その結果、繁殖期等の年間繁殖スケジュールが明らかになった。 5.その他に、イリオモテヤマネコとともに西表島の食物連鎖の頂点に位置するカンムリワシおよびイリオモテヤマネコの餌動物として重要なヤエヤマオオコウモリの生息状況に関する予備的調査を行なった。
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