研究概要 |
初年度は糖転移酵素群による効果的な糖鎖伸長反応とその迅速な評価法を確立させた。次年度目は糖鎖自動合成装置の開発において鍵となる「糖転移酵素」をくり返し利用するために固定化の検討を行った。まず既存の固定化法を用いて酵素を固定化し利用することが可能であることを、β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼやα2,3-シアリルトランスフェラーゼで確認した。更に、糖転移酵素をマルトース結合蛋白質との融合蛋白質の状態で大腸菌に生産させ、側鎖にマルトースを持つ高分子に結合させる固定化法を開発した。 最終年度である平成13年度は、最終目標であった「糖鎖自動合成装置」を開発した。生合成を真似た方法論(バイオミメティック法)は実用化に耐えられる酵素活性の実現等に向けてさまざまな改良を行う必要はあるが、自動合成システムの構築にとって重要なブレークスルーとなることは間違いない。このようにして必須の2つのアイテム(酵素と基質)がそろったので図1に示したような自動合成装置の第一号機(試作機)が完成した。 このような一連の糖転移酵素と高分子型のプラーマー基質を用いる免疫制御薬の候補の一つとして期待されている細胞接着糖ペプチドやセレクチンのリガンドとして知られている複雑なスフィンゴ糖脂質なども合成できるようになった。 今後は実用化に向けた研究開発と共に、試作した糖鎖を用いて生理活性等の研究の発展に期待ができる。
|