[1]HMG1/2の立体構造解析:全長ヒトHMG1およびHMG2の高発現、結晶構造解析は試料の性質上、困難を極めた。そこでブタHMG2のbox Bを大腸菌で高発現、精製し、その構造及び短鎖DNAとの複合体構造をNMR法により解析し(構造解析は共同研究)、その微細構造を明らかにした。今後box Aについても同様に解析し、全構造解析へと発展させる。 [2]塩基配列特異的結合性をもつHMGboxの構築:上記[1]の実験によりHMGboxとDNAの結合構造が明らかにできたので、この結果をもとにboxのDNAへの結合に塩基配列特異性をもたせるためのboxの構造設計を分子動力学シミュレーション法をもちいて行った。得られた配列のうち、幾つかについて実際に大腸菌体内で発現させ、その特異性の度合いを検索中である [3]細胞核内でHMG1と相互作用して存在、ヌクレオソームの構造弛緩を惹起する因子の検索:HMG1と転写促進能を持たないHMG2の酸性アミノ酸領域を交換したキメラタンパク質をCOS1細胞内で発現させ、共導入したレポーター遺伝子の転写促進能を解析した。その結果、HMG1が転写促進を与える最小領域はボックスBおよびそれに連なる酸性アミノ酸領域であることが明らかとなった。また、HMG1と相互作用する因子を検索し、複数の因子の存在が認めた。HMG1およびその相互作用因子によるクロマチン構造変動を再構成クロマチンのマイクロコッカルヌクレアーゼによる消化の速度から検討し、これらの相互作用因子はATP存在下においてクロマチン構造を弛緩させることが明らかになった。
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