研究課題/領域番号 |
11480172
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
川喜田 正夫 工学院大学, 工学部, 教授 (00012740)
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研究分担者 |
三木 俊明 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10239204)
青木 和久 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00280785)
坂口 政吉 工学院大学, 工学部, 助手 (80281351)
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キーワード | 糖ヌクレオチド輸送体 / UGTre17輸送体 / UST74C輸送体 / 多重特異的糖ヌクレオチド輸送体 / 大腸がん |
研究概要 |
1.ヒトUDP-Gal輸送体関連遺伝子hUGTrel7輸送体の基質特異性を精査した結果、hUGTrel7はUDP-グルクロン酸、UDP-GalNAc、UDP-GlcNAcを輸送する多重特異的輸送体であることが明らかになった。基質特異性から見てこの輸送体はグルクロン酸抱合、プロテオグリカン合成など重要な反応に関与する可能性があり、今後の展開が期待される。hUGTrel7は、動物細胞中では小胞体に局在する。小胞体の糖ヌクレオチド輸送体が同定されたのはこれが最初の例である。 2.ショウジョウバエFrc遺伝子の変異体は、胚発生過程においてnotch機能の低下に由来する形態形成異常を示す。Frc遺伝子を同定し、その構造を解析したところ、hUGTrel7ときわめて高い相同性を示した。Frc cDNAを出芽酵母細胞中で発現させ、その産物(UST74C)の機能について検討した結果、UST74Cは調べた限りすべてのUDP-sugarを基質とする多重特異的糖ヌクレオチド輸送体であることが明らかになった。 3.大腸がん患者のがん組織と正常粘膜の間で糖ヌクレオチド輸送体mRNAの発現量を比較し、UDP-Gal輸送体mRNAの発現が特異的にがん組織で昂進していることを明らかにした。UDP-GlcNAc,CMP-Sia輸送体mRNAの発現量には有意差はない。UDP-Gal輸送体mRNAの発現は特に浸潤、転移のあるhigh stageの患者で有意に高く、セレクチンリガンドsialyl LeA,sialyl LeXの発現の増加と関連していることが示された。大腸がんの血行性転移に関わるこれらの糖鎖抗原の発現量がUDP-Galの供給量によって規定されていることを強く示唆するこの知見は、細胞の挙動が細胞表面糖鎖構造の変化を介して、糖ヌクレオチド輸送のレベルで制御されることを示す最初の注目すべき例である。
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