研究概要 |
1)血小板と血管生物学におけるSph-1-Pの役割解明 (A)血小板に発現するEdg family受容体をRT-PCRで分析し、LPA受容体であるEdg2,4,7とSph-1P受容体のEdg6を同定した。(B)血小板膜結合スフィンゴシンキナーゼの精製を試み、これが新規の酵素である可能性を示すことによって、この酵素のアイソフォームの拡がりとそれぞれの独自の役割を示唆した。 (C)血小板からのSph-1-PやLPAの放出を調べ、その二つの脂質のそれぞれ別々の生理的意義を示唆し、またそれらの放出機構の手がかりを掴んだ。(D)Sph-1-Pが血管の内皮細胞平滑筋細胞の受容体を通して、血管新生や平骨筋収縮等を引き起こしたり、病理的役割を果たしていることを示した。 2)スフィンゴシンキナーゼの多様性 これまで知られている2つのアイソフォーム(Sphk1,Sphk2)以外に、血小板特異的なキナーゼの存在を示唆すると共に、これとは別に新規のキナーゼSphk3をクローニングした。 3)Sph-1-Pによる細胞運動制御機構の解明 メラノーマに強く発現しているEdg5を介してRho、FAKなどの活性化が細胞運動制御に関与している可能性を示した。 4)Edg受容体研究 (A)スフィンゴシン1-リン酸受容体のEdg1,Edg6などがN末端にアスパラギン結合糖鎖構造を有し、この糖鎖の受容体のinternalizationや受容体のミクロドメインへの集積における役割を始めて明らかにした。(B)Edg6のリガンド結合アミノ酸部位をコンピューター予測に基づく変異体作成を通して、テネシー大学Tigyi教授との共同研究で明らかにした。
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