研究課題/領域番号 |
11480176
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横田 崇 東京大学, 医科学研究所, 客員教授 (50134622)
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研究分担者 |
小出 寛 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (70260536)
西中村 隆一 東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (70291309)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | サイトカイン / gp130 / LIF / 造血幹細胞 / キメラ受容体 / 自己複製機構 / トランスジェニックマウス / STAT3 |
研究概要 |
ES細胞の自己複製シグナル伝達にはgp130の細胞内領域が重要な役割を持つことが示唆されたことから、gp130を介するどのシグナル経路がES細胞の自己複製に寄与するかを検討した。キメラ受容体(hGMRα/mgp130+hGMRβ/mgp130)を用いたgp130細胞内領域の変異体解析から、STAT3の活性化に必要なチロシン残基がES細胞の自己複製シグナル伝達に必須であることが明らかとなった。また、SHP-2およびMAPキナーゼの活性化に必要なチロシン残基は必須ではなかった。さらに、STAT3とエストロジェン受容体のホルモン結合領域を結合した融合遺伝子を作製した(STAT3ER)。STAT3ERは合成リガンドである4-ハイドロキシタモキシフェン(4HT)存在下でES細胞においてSTAT3の標的遺伝子の一つであるjunBの発現を誘導した。この結果は、STAT3ERが誘導的活性化型分子であることを示す。STAT3ERを遺伝子導入したES細胞を4HT存在下に培養したところ未分化状態を維持できることが明らかとなった。これらの結果および他の報告と合わせると、STAT3の活性化がES細胞の未分化状態の維持に必須で充分であることが強く示唆された。さらに、このシステムでES細胞の多分化能をどの程度まで維持できるのかを調べるために、4HT存在下で培養したES細胞を胚盤胞に注入して仮親マウスの子宮に戻した結果、ES細胞の寄与率の高いキメラマウスが得られた。詳細な解析の結果、注入したES細胞は全身のあらゆる細胞に分化していた。実際、一部のキメラマウスの親からは、ES細胞由来の形質(アグーチ色の毛色)を引き継いだ子供が誕生し、ES細胞がキメラマウスの生殖系細胞にも分化していることが証明された。これらの結果は、転写因子STAT3を活性化しさえすればマウスES細胞の多分化能を完全に維持できることを示している。また、ES細胞やEG細胞で特異的に発現している転写因子Oct-3/4は、その一定量の発現が、内部細胞塊の形成、ES細胞の未分化状態の維持に必須であることが明らかにされている。LIFあるいはSTAT3のシグナルは、Oct-3/4と協同する未知の因子の発現を維持することにより、分化抑制に働いていると推測される。今後、STAT3の下流遺伝子(群)でOct-3/4と協同する因子の同定によって、ES細胞が未分化状態を維持するメカニズムの核心に迫ることができると期待される。
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