研究課題/領域番号 |
11480179
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
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キーワード | セレノシステインリアーゼ / システインデスルフラーゼ / セレノリン酸 / セレン / 鉄硫黄クラスター / 硫黄 |
研究概要 |
システインをアラニンと硫黄単体に分解するシステインデスルフラーゼ、およびこれと一次構造的にも機能的にも類似するセレノシステインリアーゼの作用機序、生理的役割を解明することを目的として研究を実施した。ラン藻の2種のシステインデスルフラーゼについて、鉄硫黄タンパク質生合成への関与を調べた。両酵素の遺伝子クローン化、高生産系の構築、大量精製を行った。得られた精製酵素の作用により、L-システインを硫黄源として、アポフェレドキシンが効率よく[2Fe-2S]フェレドキシンに変換されることが明らかとなった。一方、大腸菌のセレノシステインリアーゼ(CsdB)について、セレノリン酸生合成への関与を調べた。CsdBと大腸菌のセレノリン酸合成酵素、および、セレノシステインとATPをインキュベートすると、セレノリン酸が効率よく生成した。CsdBとセレノシステインの代わりに、セレニドを基質とした場合、野生型セレノリン酸合成酵素を用いるとセレノリン酸の生成が見られたが、変異型セレノリン酸合成酵素(C17S)を用いた場合には、CsdBとセレノシステインを加えた場合でのみ、セレノリン酸の生成が見られた。これらの結果は、CsdBがセレノリン酸合成酵素に基質を供給する役割を果たすことを示唆している。さらに、RT-PCRとウェスタンブロット法により、マウスのセレノシステインリアーゼが、肝臓・腎臓・精巣などの臓器で高発現していることを明らかにした。このような組織分布は、セレノリン酸合成酵素の組織分布と一致しており、両酵素が協同して機能するという、上述の仮説を支持するものである。
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