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2001 年度 実績報告書

神経ステロイドによる海馬での情動記憶交信の活性化

研究課題

研究課題/領域番号 11480187
研究機関東京大学

研究代表者

川戸 佳  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50169736)

研究分担者 筒井 和義  広島大学, 総合科学部, 教授 (20163842)
木本 哲也  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60292843)
キーワード海馬 / ニューロステロイド / 記憶・学習 / チトクロムP450 / エストラジオール / ストレス / LTP / カルシウム
研究概要

我々は昨年度までに、ラット海馬におけるプレグネノロンからエストラジオールに至る神経ステロイド合成系の存在を発見した。これに基づき、今年度はラット海馬の神経伝達に対する神経ステロイドの急性作用に関する検討を進めた。
まず、脳内で最も多量に存在する神経ステロイドである硫酸プレグネノロン(PS)の急性海馬スライスにおける作用を検討した。その結果、PSはNMDA受容体を介したカルシウム流入を増加させることで、海馬神経細胞におけるシナプス伝達の長期増強(LTP)の成立に必要な刺激強度を減少させるとともに、神経細胞における一酸化窒素(NO)の産生を顕著に亢進させることを発見した。
更に、昨年度海馬で合成されていることを初めて確認した17β-エストラジオール(女性ホルモン)について、海馬神経伝達に対する急性作用の検討を進めた。その結果、4週齢オスラットの海馬スライスでは、エストラジオールが、100Hz・1秒間のテタヌス刺激に対するLTPの成立を抑制することを観察し、エストラジオールの神経伝達に対する作用は動物の週齢によって異なることを観察した。
一方、ストレスステロイドであるコルチコステロン(CORT)は、4週齢オスラットより調製した海馬スライスにおけるLTPを顕著に抑制し、またNMDA依存性のカルシウム信号をも抑制することを発見した。これにより、急激なストレスにより記憶障害がもたらされる現象を説明できるのではないかと考えられる。海馬スライス内の神経細胞に対するCORTの作用は、CORTがNMDA依存性の細胞内カルシウム濃度上昇を継続させる培養海馬神経細胞に対する作用とは異なっており、神経細胞の加齢、あるいは周囲のグリア細胞の働きにより、CORTの作用機序に違いが生じている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kimoto, T.: "Neurosteroid synthesis cytochrome P450-containing systems localized in the rat brain hippocampal neurons : N-methyl-D-aspartate and calcium-dependent synthesis"Endocrinology. 142. 3578-3589 (2001)

  • [文献書誌] Kawato, T.: "Neurosteroids are 4th generation neuromessengers : cell biophysics analysis of steroid signal transduction"Adv. Biophys.. 37. 1-30 (2001)

  • [文献書誌] Kawato, T.: "Histological and metabolism analysis of P450 expression in brain"Methods Enzymol.. (in press).

  • [文献書誌] Kimoto, T.: "Cytochrome P450-dependent neurosteroid synthesis in the rat brain hippocampal neurons"Excerpta Medica International Congress Series. (in press).

  • [文献書誌] Shibuya, K.: "Hippocampal cytochrome P450s synthesize brain neurosteroids which are paracrine neuromodulators of synaptic signal transduction"Biochim. Biophys. Acta.. (in press).

  • [文献書誌] Takata, N.: "Pregnenolone sulfate acutely enhances NO production in the rat hippocampus : digital fluorescence study using NO reactive dye"Bioimages. (in press).

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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