i)ダイズのcDNA-λファージ・ライブラリーから、大腸菌のhemG欠失変を相補するクローンとして、プロトポルフィリノーゲン・オキシダーゼ(PPOX)の遺伝子をもつクローンの分離に成功した。この遺伝子のDNA塩基配列を決定し、502アミノ酸からなるORFを見出した。ホモロジ-検索の結果、シロイヌナズナのミトコンドリアのプロトポルフィリノーゲン・オキシダーゼと67%の高いホモロジーがあることがわかった。 ii)キューリのフェロキレテース(FC)を大腸菌細胞で過剰発現させる系を開発し、抽出・精製した酵素について、その性質を調べた。また、この酵素のキューリ植物体各種組織における発現や局在性を調べ、光で誘導されないこと、光合成を行っていない組織で発現がみられることを明らかにした。そしてこのことからキューリには別のタイプのフェロキレテースが存在することを予測した。 iii)大腸菌の変異株を用いて、ポルフィリン合成経路の大腸菌プロトポルフィリノーゲン・オキシダ-ゼ関与のステップに興味ある発見をした。すなわち、このステップを触媒するプロトポルフィリノーゲン・オキシダーゼが完全になくなっても、一つ前のステップの酵素であるコプロポルフィリノーゲン・オキシダーゼ(CPOX)が過剰に供給されるとプロトポルフィリノーゲン・オキシダーゼの代わりになりうることを見出した。このことからin vivoの反応においてはコプロポルフィリノーゲン・オキシダーゼには弱いプロトポルフィリノーゲン・オキシダ-ゼ活性が存在すると推測した。
|