研究課題/領域番号 |
11480202
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関水 和久 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (90126095)
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研究分担者 |
小林 綾子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90272484)
本間 光一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90251438)
久保 健雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10201469)
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キーワード | DnaA蛋白質 / 大腸菌 / DNA複製 / 複製開始制御 / ATP / RIDA / DNAポリメラーゼ / 抗菌剤 |
研究概要 |
本年度は、同調培養した大腸菌を用いて、in vivoでも複製周期と共役したDnaA蛋白質の活性型から(ATP結合型)不活性のADP結合型への変換が起こることを明らかにした(Kurokawa et al.,EMBO J.,1999)。ATP型DnaAからADP型DnaAへの変換反応は染色体DNAの複製反応に依存していた。この結果は、DNA複製の伸長反応が、細胞内において、複製開始蛋白DnaAの活性を負に制御することを直接示したと評価できる。また、試験管内DNA複製系を用いて、RIDA(Regulatory Inhibition of DnaA)の分子機構を解析し、DnaA蛋白質とβクランプとの相互作用には、ある長さを持った2重鎖DNA領域が必要であることを明らかにした。すでにこれまで我々はRIDAについて、DNAポリメラーゼによるDnaA蛋白の不活性化として報告しているが、本研究成果は、その作用メカニズムをさらに明らかにしたものである。 DnaAタンパク質は細菌類に広く保存されている一方、真核生物のゲノム配列からは構造的ホモログが見出されない。したがってDnaA蛋白は、抗菌剤の標的得意性(選択毒素)という点で格好の条件を満たしている。DnaA蛋白質の複製開始機能が阻害される場合だけでなく、不活性化(RIDA)が阻害されても過剰の複製開始により細胞分裂阻害が生じ、菌の増殖が妨げられるはずである。したがって我々の複製開始蛋白の不活性科に関する研究成果は、新規抗菌剤の開発において有用性をもつと思われる。現在、DnaA蛋白のATP結合活性に対する阻害を指標とした化合物のスクリーニングを行っている。候補化合物の中に細菌の増殖阻害効果を示すものがあるかを検討することが今後の課題である。
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