ツメガエル幼生の後肢芽は発生の進行と共に再生能を失い、これは間充織の性質の変化、特に間充織でのFGFー10の発現の減少に依存する事が既に明らかになっている。 本年度はまず四肢パターン再生に必須な背腹軸に着目して研究を行った。四肢の背側中胚葉で発現するLmx-1は、変態初期の再生能がある肢芽では、表皮からのシグナルに応じて発現するが、再生能を失った肢芽では表皮からのシグナルが失われ、背腹形成ができなくなることが示された。また成体四肢再生芽ではLmx-1の発現は見られなかった。これらの結果は、ツメガエル四肢再生能の低下は背腹軸形成と密接に関係していることを示している。 またツメガエル成体の四肢を切断して作った再生芽で再生を試みた。成体の四肢では切断によって再生芽が形成され、最終的には1本の軟骨突起であるスパイクが形成される。この再生芽にSonic HedgehogタンパクやPDGFを染み込ませたビーズを投与し、分岐、分節した四肢軟骨パターンの形成を得た。さらにDMSO処理によって、四肢パターンの原型を得た。 これらの結果は、四肢再生能の有無の接点であるツメガエル成体四肢で、不充分ながらも軟骨パターンの再生が誘導されることを示しており、哺乳類などのより高等な動物の四肢再生への道をつけるものと考えられる。
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