研究課題/領域番号 |
11480218
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井出 宏之 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (70022704)
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研究分担者 |
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
山本 博章 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (40174809)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ツメガエル / 四肢 / 再生能 / 繊維芽細胞成長因子 |
研究概要 |
有尾両生類の四肢の再生は古くから研究されてきた発生生物学のテーマである。四肢の切断後、再生芽が形成され、最終的にもとと同じ構造を持った四肢が形成される過程は、器官再生機構の解析だけでなく、パターン形成機構の解析にも大きく貢献してきた。さらに再生医療の最も典型的な例として、ヒトの失われた四肢を再生することの基礎研究が多くの研究者によって始められている。 しかしヒトを含めて哺乳類の四肢は指先を除いてほとんど再生しない。鳥類、爬虫類も同様である。このように完全な四肢再生が可能な有尾両生類と、四肢再生がほとんど不可能な哺乳類等を結ぶものとして、無尾両生類がある。多くの無尾両生類では、変態初期に幼生で形成される肢芽を切断しても完全な四肢を再生するが、変態が進み軟骨パターンが形成されるとともに、四肢再生能は急速に失われ、変態した子ガエルでは再生は全く起こらないか、1本の軟骨が形成できるだけになる。この軟骨には分岐も分節も見られない。このような再生能の変化は無尾両生類においてのみみられるもので、再生能の解析に有益な材料と考えられる。 本研究では、ツメガエルの幼生、子ガエルを用いて、四肢再生の分子機構を解析し、その結果をもとに失われた再生能を復活させることを試みた。 その結果、幼生の肢芽の発生に伴う再生能の低下は、肢芽間充織の変化に伴うもので、特にFGF-10の発現が重要であることが分かった。さらにFGF-10タンパクを外から加えることによって、再生脳を回復させることができた。また肢芽の発生に伴って背腹軸形成機構にも変化が起こり、表皮からの背方化シグナルが失われることが再生能の低下と関係していることが示唆された。 さらに子ガエルの四肢で起こるスパイク形成は再生の一部であり、シグナル分子の添加でスパイク構造に分岐分節を起こせることが明らかになった。
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