研究課題/領域番号 |
11480231
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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研究分担者 |
八十島 安伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00273566)
松下 夏樹 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40271556)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | ドーパミン / ノルアドレナリン / 大脳基底核 / 長期記憶 / ドーパミン受容体 / 核内受容体 / イムノトキシン細胞標的法 / Cre-loxPシステム |
研究概要 |
カテコールアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン)神経伝達は、種々の高次脳機能および脳の機能発達において重要な役割を持つ。また、これらの神経系の異常は、パーキンソン病、分裂病などの神経精神疾患の発病に深く関係する。しかし、カテコールアミンが複雑な脳機能を制御する分子細胞機構については十分に理解されていない。本研究では、これらの問題解明のために、マウス遺伝子操作の技術を用いて、カテコールアミンが媒介する運動と記憶学習の制御について分子遺伝学的な研究に取り組んだ。第一に、カテコールアミン合成に異常を持つ遺伝子変異マウスを用いて、ドーパミンの生後発育期における運動と情動学習における必須の役割を明らかにするとともに、ノルアドレナリンは長期記憶の保持および再生に重要な役割を持つことを明らかにした。第二に、ドーパミンが神経回路機能を調節する分子細胞機構を明らかにするために、ドーパミンD2受容体を発現するニューロンを誘導的に除去することにより、線条体-淡蒼球ニューロンが大脳基底核機能の双方向性制御に重要な役割を持つことを明らかにした。同様のアプローチを用いて、線条体におけるGABA性介在ニューロンの役割の解明を試みた。また、ドーパミンD4受容体の遺伝子ノックアウトマウスの解析から、本受容体は精神薬に依存する行動変化に必須の役割を持つことを見出した。第三に、ドーパミンニューロンの機能調節に重要な因子を同定する一環として、核内受容体のメンバーであるNurr1がカテコールアミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素遺伝子の活性化因子であることを明らかにした。第四に、マウスの遺伝子操作を利用した新しい実験系の開発に取り組み、緑色蛍光タンパク質を利用したドーパミンニューロンの可視化とその応用技術を確立した。Internal ribosome entry siteを利用した遺伝子発現系を利用し、イムノトキシン細胞標的法の改良を行なった。部位特異的遺伝子組換え系(Cre-loxPシステム)を応用して、カテコールアミンニューロンに特異的な条件的遺伝子ターゲティングシステムを開発した。このシステムを利用し、種々のシグナル伝達分子および転写因子の機能解析に応用した。これらの技術は、今後、カテコールアミン神経伝達による高次脳機能の制御を分子細胞レペルで解明していくために有益なアプローチを提供する。
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