研究課題/領域番号 |
11480233
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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研究分担者 |
石井 加代子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30193246)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80200484)
川村 光毅 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40048286)
韓 春錫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40306832)
竹内 京子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80116954)
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キーワード | 細胞接着蛋白 / L1 / ヘルペスウイルスベクター / サブプレートニューロン / 系統発生 / 単クローン抗体 / 神経発生 / 神経再生 |
研究概要 |
1)細胞接着蛋白L1の神経発生および再生における役割を検討し、次のような成果を得た。 a)L1欠損マウスの胎生後期-生後初期の神経組織について免疫組織化学的解析を行った。L1欠損マウスにおいて、胎生16日から生後にかけてL1が発現する視床皮質線維が大脳基底部を通過時に、続いて伸びる軸索の束化異常が示された。一方、TAG-1陽性の皮質遠心性線維は神経線維が異常に集束し、その数も減少し、内包内で軸索伸長が停滞し、視床にまで到着する線維群は観察できなかった。L1は内包を構成する視床と大脳皮質の線維連絡過程において重要な役割を果たしていることが示唆された。 b)CMVプロモーターを用いL1cDNAを変異ヘルペスウイルスベクターに組み込み、外因性のL1発現系を確立した。作成したベクターをヘルパーウイルスとともにモデル動物の脊髄損傷部位に感染させ、L1の発現を確認した。その再生促進効果を検討中である。 2)齧歯類の新皮質で最初期に分化するサブプレートニューロンの高分子膜蛋白に対する単クローン抗体K1を作成し、これを用いて終脳の系統発生学的検討を行った。K1の免疫染色性は両棲類からヒトまで広範に脊椎動物の終脳で保存され発現されていた。爬虫類では哺乳類と同様に視床からの直接投射を受ける背側皮質最外層に陽性所見が見られたが、背側脳室隆起では陰性であった。鳥類の背側皮質は視床からの投射を受けないが、サブプレートニューロンが陽性にも拘わらず最外層での陽性所見の局在はなかった。一方鳥類で視床からの直接投射をうける背側脳室隆起でも陰性であった。哺乳類大脳新皮質と相同的な組織は、爬虫類では背側皮質のみであり、背側脳室隆起とは異なる起源であることが示唆された。
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