研究概要 |
カスパーゼはアポトーシスの過程において重要な因子である。カスパーゼ9はApaf-1/cutpchromecの経路によってオートプロセッシングを引き起こし、この一連のカスパーゼカスケードの上位において活性化する。一方、Bcl-2ファミリーの抗アポトーシスのメンバーの一員であるBcl-xLがIn vitroにおいてカスパーゼの活性化の抑制に関与している。しかしながら、神経発生過程におけるカスパーゼ9とBcl-xLの関係は明らかにされていない。本研究では、マウスカスパーゼ9の切断部位である2箇所に特異的に認識する抗体(anti-m9D353,anti-m9D368)を作成し、これらの抗体を用いてBcl-x欠損マウス胎児における神経発生過程でのカスパーゼ9の活性化について検討を行った。その結果、マウスカスパーゼ9のアスパラギン酸部位D353,D368においてプロセッシングしていることが明らかになった。しかしながら、多様な細胞死の過程やBcl-x欠損マウス胎児における神経発生過程ではD368において、より切断されることがわかった。Bcl-xLが後脳、前脳、後根神経節カスパーゼ9/カスパーゼ3依存性の細胞死に対して抑制すること、またBcl-xLが後脳、前脳、後根神経節におけるカスパーゼ9/カスパーゼ3依存性の細胞死に対して抑制すること、また後脳、前脳、後根神経節においてカスパーゼ9の活性化が観察されることから、Bcl-xLがミトコンドリアからcytochrome cの流出を妨げることを示した。
|