研究課題/領域番号 |
11480235
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
桃井 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所・疫病研究第5部, 室長 (40143507)
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研究分担者 |
内山 安男 大阪大学, 大学院・医学系研究科・情報伝達医学機能形態学, 教授 (10049091)
塚原 俊文 国立精神・神経センター, 疫病研究第一部, 研究員 (60207339)
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キーワード | ERストレス / ポリグルタミン / カスパーゼ12 / 神経細胞死 |
研究概要 |
近年、小胞体に局在するカスパーゼ12が変性タンパクおよび異常タンパクの蓄積によるストレス(ERストレス)により活性化し、細胞死を誘導することが報告されているが、その活性化機構およびカスパーゼカスケードにおける位置関係は不明である。マウスカスパーゼ12活性化に必要と考えられる切断部位、D318およびD341の切断点に特異的に反応する抗体12D318,12D341抗体を作成し、ERストレスによる細胞死におけるカスパーゼ12の活性化機構を解析した。マウスカスパーゼ12の過剰発現によるオートプロセシングによるではD318で切断されたのに対し、糖鎖修飾阻害剤(ツニカマイシン)を用いたERストレスではD318部位とD341の部位でプロセシングされていることが明らかになった。また、神経変性疾患の原因となるポリグルタミン凝集が細胞質や核内でおこると、ERストレスが誘導され、ERに局在するシャペロンであるBipや細胞死に関連するCHOPの発現増大、JNKの活性化がおこり、カスパーゼ12が活性化されることが明らかとなった。ポリグルタミン凝集ではカスパーゼ8が共凝集とともに活性化することが、神経細胞死の原因と考えられていたが、カスパーゼ8の活性化は必ずしも細胞死と一致しないことから、別の細胞死の経路の存在が示唆されていた。カスパーゼ12の活性化はカスパーゼ8と異なり、ポリグルタミン凝集の外で活性化されることから、明らかに異なった経路での活性化であると考えられる。ポリグルタミン凝集によるERストレスの誘導とそれにともなうカスパーゼ12の活性化がポリグルタミン凝集により神経細胞死に関連している可能性が考えられた。
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