研究概要 |
目的)システィンプロテアーゼであるカスパーゼは脊椎動物のプログラム細胞死に関係しており、現在までにヒト、マウスを含め、約12-14種類の存在が知られている。本研究はこれら細胞死に関係する各種カスパーゼの活性型を特異的に認識する抗体の作製と生体内での細胞死とカスパーゼ活性化の分子機構の解析を目的としている。プログラム細胞死、神経変性疾患、小胞体(ER)ストレス細胞死に関与するカスパーゼの活性型に特異的な抗体の作製を目的とした。結果、考察)脳プログラム細胞死ではカスパーゼ3、9依存性と非依存性細胞死の経路が存在していることが明らかになった。また、ERストレスによりカスパーゼ12はオートプロセッシング部位であるD318と他のカスパーゼで切断されるD341で切断された。この結果はカメパーゼ12の2つの切断点に対する抗体m12D318とm12D341によっても示唆された。ハンチントン病などの神経変性疾患の原因であるポリグルタミン凝集はERストレスを活性化し、カスパーゼ12をD318とD341で切断活性化することが明らかとなった(Kouroku et al.,2002)。ポリグルタミン凝集がERストレスを誘導し、ポリグルタミン凝集がIreを介して、ASKを活性化することを報告している(Nishitoh et al.,2002)。ERに局在しない核周辺の凝集、細胞質の凝集体がERストレスを誘導する分子機構については幾つかの仮説が提出されているが、現在のところいずれも確立されていない。しかし、直接か間接かは別にしてもERストレスによる細胞死がポリグルタミン凝集による細胞死と深く関係しており、ERストレスを抑制することにより、ハンチントン病などの神経変性疾患の治療の可能性が示された。
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