研究課題/領域番号 |
11480245
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
立花 政夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60132734)
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研究分担者 |
塚本 吉彦 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20104250)
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キーワード | 網膜 / 双極細胞 / アマクリン細胞 / グルタミン酸受容体 / GABA受容体 / フィードバック / プロテインキナーゼC / シナプス小胞 |
研究概要 |
網膜双極細胞からのグルタミン酸放出制御機構に関して検討し、以下の結果が得られた。 1.マウス網膜スライス標本にホールセルクランプ法を適用して、双極細胞からアマクリン細胞へのグルタミン酸作動性伝達と、アマクリン細胞から双極細胞へのGABAc作動性フィードバック制御を解析した。アマクリン細胞にはAMPA型受容体とNMDA型受容体が共存していた。GABAc作動性フィードバック制御が働く状態では、光刺激によりアマクリン細胞のAMPA型受容体が主に活性化された。双極細胞のGABAc受容体を阻害すると、光刺激によりアマクリン細胞のAMPA型受容体に引き続きNMDA型受容体が活性化された。この現象を説明するために、グルタミン酸の放出部位直下にAMPA型受容体が局在し、そこからやや離れた部位にNMDA型受容体が存在するモデルを提案した。GABAc作動性フィードバックにより双極細胞からのグルタミン酸の放出速度が制御されてグルタミン酸の漏出量が変化し、両グルタミン酸受容体の活性化の割合が変化すると考えられる。 2.キンギョ網膜から単離した双極細胞軸索終末部に膜容量測定法を適用し、グルタミン酸の放出を定量的に解析した。双極細胞のプロテインキナーゼCをホルボールエステルで活性化するとグルタミン酸の放出量が増大した。この現象をダブルパルス法で検討した結果、放出確率の増加ではなくシナプス小胞のプールサイズが増加したためであることが明らかになった。双極細胞のシナプス小胞プールには即時に放出されるものと遅れて放出されるものとがあるが、プロテインキナーゼCの活性化は後者のプールサイズを増大させた。キンギョ網膜の超薄連続切片を電子顕微鏡で観察したところ、プロテインキナーゼCを活性化させた標本では、シナプスリボン周辺のシナプス小胞の分布が変化していた。
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