本研究は、世界で初めて可能になった微小循環の長期連続観察方法を研究の手段に使うことによって今まで不可能であった微小循環からの循環動態の評価を可能にすることを研究の最大の特色としており、具体的には各種の人工循環の流れの形態や制御の方法が長期にわたって物質交換を含めた微小循環に及ぼす影響を観察して解析し、生体の人工循環に対する適応機構を解明すると共に最適の人工循環のあり方を明らかにすることを目的としている。 本年度は、微小循環観察プローブの焦点距離が可変になるように、マイクロレンズを設計試作した。レンズは直径4mm、長さ4mmの円筒形の非球面で3倍の拡大率を有する。材質はアクリル樹脂でNC旋盤にて切削し手で研磨した。試作したレンズ用のマウントを作製しCCD素子と一体化した。このように試作した微小循環プローブの原型モデルでスライドの文字、ヤギの赤血球の標本などを観察し、最適の焦点距離の調節を行った。その結果、直径3ミクロンのヤギの赤血球が十分観察できることが明らかになった。 現在、微小循環実験用のミニ波動ポンプ、模擬循環装置の開発を進めると共に体内埋め込みが可能な微小循環プローブの開発を行っている。
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