研究課題/領域番号 |
11490001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石川 信敬 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (70002277)
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研究分担者 |
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
田中 夕美子 北海道大学, 農学部付属演習林, 教務職員 (60221397)
平野 高司 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20208838)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 顕熱量 / 積雪 / 炭酸ガス / 塩化物イオン / 森林 / 大気熱収支 / 土壌呼吸量 / 温度逆転層 |
研究概要 |
平成11-14年度に「積雪寒冷森林地域の水循環及び物質循環におよぼす森林と積雪の影響」について現地観測を実施した。観測項目は林内の乱流構造と蒸発散量、積雪と林内における炭酸ガス濃度、土壌呼吸量、大気熱収支に及ぼす積雪と森林の熱的効果、河川水や地下水及び積雪内の塩化物イオンと酸性度である。その結果、1)樹冠上では蒸発散量に明瞭な季節変化を認めたが夏期の蒸発散量は放射収支量の30-40%に過ぎずこれまでの報告に比べて小さかった。また林内の炭酸ガス濃度は測定器の送風量によって値が大きく変動し、さらに場所による変動が大きいため多点での測定が不可欠であることを指摘した。 2)落葉広葉樹林の炭素吸収量は2680-2200(kgC/ha/yr)であり、経年変動は別に推定した樹木の成長量の年変動と定性的に一致した。一方、土壌呼吸速度(土壌からの炭酸ガス放出速度)は4100-3900(kgC/ha/yr)であり、その日変化や季節変化は地温の変化に対応した。また降雨後に大きく変動することを見出した。 3)積雪最下層部の炭酸ガス濃度は大気に比べてはるかに大きな値(1200ppm以上)を示したが、これは冬期間でも深い積雪下では微生物活動があり充分な土壌呼吸量があったものと推察された。なおこの高濃度の炭酸ガスはしばしば短時間で400ppm以下に低下し積雪を通して大気中に抜けている事が分かった。なお積雪面上の大気中の炭酸ガス濃度は12-2月にはほとんど日変化を示さず3月になって日変化が生じた。冬期間は積雪が土壌呼吸量を遮断したため、融雪期以降は森林の活動によるものであろう。 4)融雪期の水収支と塩化物イオンの物質収支を比較すると水の流出率は80-85%であったが、イオンの流出量は流入量の倍以上となり無雪期の流域内貯留の寄与が示唆された。降雨、融雪水、地下水、河川水の塩化物濃度と酸素同位体比の比較観測から森林流域の流出特性を求めると、融雪量が最大時の河川水でもその大部分は水質の安定した地下水であることが分かった。特に酸素同位体比は流出過程を知る上で有用な指標になることが確かめられた。
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