研究課題/領域番号 |
11490004
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
KNELLER Robert 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20302797)
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研究分担者 |
隅藏 康一 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (80302793)
大渕 哲也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
玉井 克哉 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20163660)
斎藤 誠 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00186959)
安念 潤司 成蹊大学, 法学部, 教授 (00125981)
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キーワード | 生命科学 / データベース / 知的財産権 / 特許法 / 著作権法 / ゲノム解析 / 医療 / 製薬 |
研究概要 |
生命科学分野においては、研究成果の多くはデータベースとして蓄積され、基礎研究はもちろんのこと、医療・製薬など様々な分野に活用されている。欧米では、DNA塩基配列データベース、タンパク質立体構造データベース、遺伝子発現データベースなどの公的データベースが構築されており、インターネット等を通じて誰でもアクセスできる状態になっている。公的データベースの構築に携わっている中心的な機関の一つが、米国衛生研究所(NIH)であり、ガン遺伝子関連データベースの構築(Cancer Genome Anatomy Project)等を進めている。NIHはこれらの公的データベースについては法的保護を求めない方針であり、その一部が他の商用データベースの中に組み込まれて提供されてもかまわない、としている。 一方、Celera等の民間企業は、自社で行ったゲノム解析の結果をデータベース化し、大手製薬メーカー等に対し有料でアクセスさせるという事業を行っている。生命科学分野においては、データベースの財産的価値がたいへん高まってきており、いかなる方法でそれを保護するかということが、喫緊の検討課題となっている。 著作物性の認められない、事実情報を素材とするデータベースの法的保護に関して、欧州では、新たな権利を設定したEC指令が1996年に採択され、各国で立法化が進められている。米国では、欧州と同様な権利付与型の法案(H.R.354)と行為規制型の法案(H.R.1858)が並行して審議されている。このようなデータベース保護法により、生命科学分野のデータベースを保護するというのが、一つの考え方である。 これとは別に、米国特許商標庁においては、コンピューターシステムと関連づけたクレームを書くことにより、DNA塩基配列等のデータベースを特許により保護できると考える専門家も出てきている。これは、State Street Bank事件の判決に端を発する特許対象の広がりを反映したものであるが、このようなデータベース特許の成立が妥当であるかどうか、また日本や欧州で同じ考え方を採択する余地があるのかどうかなど、今後検討すべき課題は数多い。
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