研究概要 |
メゾスコピックな寸法領域の凝集構造に固有な量子現象・新規光物性の探索は,次世代のフォトニクス材料に必須な超高速で超高集積な機能開発におけるブレークスルーの鍵となると共に,物性研究の進歩を促進する基本課題の一つである。本研究では,固体材料の光機能を担う励起子状態に着目し,従来の巨視的な研究手法から脱却して物質の極微な量子構造における単一の量子現象・光物性を,ナノ構造との相関において抽出計測し解明することを目標にして,ロッド型の屈折率分布(GRlN)マイクロレンズを用いた固体液浸(SlL)動作の新規なレーザー顕微鏡を主体とする装置開発と,プロトタイプとなる物質構造の作製とその最適化を行う。前者に関しては走査型レーザ顕微鏡としての基本性能(波長545nmにおける空間分解能:〜310nm)の確認に続き,分光計測上不可大な色収差解析を開始し,発光・励起スペクトル画像計測から,局所反射スペクトル計測の可能性を実証し,二次元走査型画像計測とサイト選択による空間分解分光計測の高度化を行った。ナノ構造系としては,信号の伝搬と制御機能への展開を意識して1次元のフレンケル型(Frenkel)励起子系を特徴とするJ会合体と,演算・スイッチ機能等への展開も視野に入れて"0"次元閉じ込め型のワニヤ型(Wannier)励起子を特徴とする半導体ナノ微粒子に着目した。前者では,高分子(PVS)薄膜中に得られるフィプリル構造の制御性と対応させた高精度な局所反射スペクトル計測から,局所的な励起子ポラリトン形成の可能性を見出した。後者では,半導体基盤に例えばSK-モードで形成される通常の量子ドットとは異なり,丁度ミクロな栗の"いが"のように多数個の有機分子でその周りを囲まれて封止された有機無機複合のCdScナノ微粒子の合成法の検討に着手した。安定で様々な媒質中に様々な配位出来ることが特徴で,粒子サイズ並びにサイズ分布の制御された発光量子効率の高い高品位の微結晶を得ることに成功し,大きな進展を得た。
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