研究課題/領域番号 |
11490015
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
秋山 侃 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10283318)
|
研究分担者 |
篠田 成郎 岐阜大学, 流域環境研究センター, 助教授 (80187369)
塩見 正衛 茨城大学, 理学部, 教授 (80250976)
小泉 博 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (50303516)
板野 志郎 岐阜大学, 農学部・附属農場, 助手 (80242741)
|
キーワード | 衛星データ / 環境保全 / 生態系 / 持続性 / 草原 / 炭素動態 / データベース / ベータ・二項分布 |
研究概要 |
持続的生産性を評価するための一つのフィールドを中国内蒙古シリンゴロ草原に定めて、3年前から草原の持続的利用と環境保全の両面から調査を行っている。1979年以来、約5年間隔の人工衛画像を解析し、20年間の草原植生の変化を抽出した。また、中国科学院植物研究所と共同で、刈取り調査、分光放射計による反射計測などを行った。これまでの中国側の調査データやセンサスデータにより、人口、家畜頭数、農耕地面積、気象に関するデータベースも作成できた。これらを解析した結果、人口や家畜頭数の増加に伴い、草原植生が大幅に荒廃していることが、衛星画像の植生指数によって明らかになり、砂漠化危険地域の抽出ができた。 草地の安定性は種の出現頻度によっても評価できる。草地内植生の局在的な分布特性を表すモデルとしてベータ・二項分布を仮定し、それが含む2つのパラメータ、「それぞれの種の出現頻度」と「その空間的な偏りの程度を表す指標」を使って、スロバキアの野草地の植生を解析した。ここでは、人工草地の方が野草地よりも種数が多く、空間分布の偏りが大きいことが分かった。 持続性評価のもう一つの方法として、系内の炭素量の動態を監視する方法も考えられている。このため、水田、畑地、果樹園、森林などの生態系での炭素動態を実測している。森林については拠点を岐阜県高山市の岐阜大学の試験地に置いて、洛陽広葉樹と林床植物による炭素循環速度を明らかにしつつある。これまでの7年間の計測結果から、洛陽広葉樹林(林床植生を含め)は毎年1ha当たり2t強の炭素を蓄積していることが明らかになった。しかし日本の畑地では炭素が消耗されていた。 今後さらに生態系別にデータを蓄積し、それぞれの地域や環境に適した指標の作成を試みる。
|