研究課題/領域番号 |
11490027
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
丸山 定巳 熊本大学, 文学部, 教授 (00039968)
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研究分担者 |
二塚 信 熊本大学, 医学部, 教授 (80040195)
原田 正純 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00040519)
富樫 貞夫 志學館大学, 法学部, 教授 (70039957)
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キーワード | 水俣病 / 地域再生 / 公害防止 / 環境破壊 / 胎児性患者 / ADL / QOL |
研究概要 |
1.患者への聞き取り調査を通して、所属団体の如何を問わず諦観が強まっていることが明らかになった。胎児性疾患者への部分的な支援活動が新たに生まれてきているが、親が高齢化していくなかで今後の対応が課題になってきている.水俣病事件を教訓とした事業は、行政主導でかなり活発に展開されているが、地域社会全域に必ずも浸透していないケースもみられる。 2.地域再生を考察するとき最も重要なことは多くの健康被害者がその町で障害を持ちながら快適に暮らせるかと言う視点が不可欠であるという立場から患者の状態をサンプリングして調査した。対象は82人。認定患者は症状の悪化が見られる。これは加齢・合併症によるものもあるが、胎児性患者の11人中9人にみられるケースは加齢とは考えられない。さらに棄却や未申請者もさまざ症状をもっており、家族に水俣病患者がいることからさらなる住民検診の必要がある。そういった実態を明らかにしないでの再生は水俣の場合あり得ない。 3.ヘドロ関係資料の収集・分析を進めてきたが、水俣湾埋立・環境再生事業の不完全さとそれ故の今後の問題点が、さらに明らかになった。 4.水俣病をめぐる認定申請や裁判などをめぐるさまざまな問題を経験した地域住民は、身体的な不調を抱えながらもこれからの生活をいかに生きるかということに関心が移ってきていると言える。しかし、住民の精神不安度は著しく高く、それは身体症状が悪いほど高くなり、また水俣病問題に対して積極的に関与していった経験があるもんほど不安は低下する傾向があった。今後、この地域での保健医療・福祉を考える際に重要な視点となるであろう。
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