研究課題/領域番号 |
11490031
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
川嶋 辰彦 学習院大学, 経済学部, 教授 (40080353)
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研究分担者 |
平岡 規之 三菱総合研究所, 国土基盤部国土環境室, 室長・主任研究員
山村 悦夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (00001230)
田中 伸英 学習院大学, 経済学部, 教授 (10118763)
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キーワード | 核都市 / 逆都市化現象 / 空間的循環過程 / 住宅政策 / 都市圏システム / 都市政策 / 都市投資 |
研究概要 |
第2年目の研究実績として、我が国の都市盛衰過程特性につき下記の新たな知見を得た。 1.逆都市化現象(大都市圏人口の純減現象)について: (1)三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の人口増減は、米国大都市圏の人口増減動向を後追いしている。 (2)「都市圏の人口純減過程」の先行指標と見做せる,「核都市人口の純減過程」に目を遣ると、二大都市圏(大阪、名古屋)の核都市人口は既に比較的長期間に恒り続減している。 (3)三大都市圏の人口は1960年代以降続伸しているが、人口成長率は夫々0%に近づきつつある。 (4)空間的循環過程に関する分析結果は、「近い将来、我が国都市圏システムが前期分散化段階に到達する可能性」を示唆している。 以上の認識を踏まえて判断すると、我が国が逆都市化時代を比較的近い将来迎える可能性は少なからずあり得るが、たとえこの可能性が実現したとしても、逆都市化時代が長期間に亙る可能性は小さい。 2.大都市圏内住宅政策について: (1)大都市圏(特に東京都市圏)の核都市(中心部)は将来、我が国人口の空間的人口集散過程の文脈に於いて、郊外部に対して相対的強者(即ち人口吸収力が相対的に勝る立場)となり得る。 (2)大都市圏の核都市は、中小都市圏の核都市に対して相対的強者となり得る。 (3)大都市圏は中小都市圏に対して暫らく席を譲るものの、比較的早期に返り咲き再び相対的強者になり得る可能性が小さくない。 以上の認識を踏まえて判断すると、東京都市圏の核都市部は将来、都市政策の戦略上決定的な意味を持ち得る。この視点に立つと、今後四半世紀先を睨んだ東京都市圏の住宅政策については、東京都心部が今後他の地域に比較して相対的に活力を増加し、都市機能面で極めてクリティカルな役割りを担う可能性に照らし、人口の再都心化過程によってもたらされる将来の住宅需要圧力を先取りしつつ、都市の集積経済性を効率的に高める目途からも、東京都市圏中心地域の住宅供給投資を含む創造的都市投資が強く乞われる。
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