研究課題
平成10年3月に国立民族学博物館地域研究企画交流センターに設置された京セラ文庫英国議会資料は、1801から1986年にいたる同文書のほぼ完全な集成である。本研究プロジェクトは、同文庫の本格的な公開と研究利用に資することを目的に、文庫の整備および新しい視点からの同文庫資料の索引・資料集の作成を課題として発足した。平成11年度は、既存の索引と現物の文庫資料の照合や海外、とくにイギリスにおける公開方法の調査検討など基礎的作業を中心に活動し、平成12年度から索引・資料集作成の本格的作業を開始した。(1)索引・資料集として、まずアジア地域を対象とする領事報告書の集成を、当センターの連携研究「大英帝国の比較文化・文明論的研究」プロジェクト(研究代表者:川勝平太国際日本文化研究センター教授と松原正毅当センター長)と協力しつつ作成した。とくに利用度の高い日本関連文書については、すでにアイルランド大学出版会がまとめている19世紀分を引き継ぐかたちでとりまとめ、2001年夏までに『BPP-JAPAN』として商業出版の形態でCD-ROM出版する予定である。また旧英領地域に比べてまとまった形で利用されることが少なかったフランス領地域および独立地域については、『領事報告:インドシナ』『同:タイ』を簡易製本の形態で2001年3月に刊行した。(2)上記の資料集成の作成にあたって、フランス側の資料との照合を目的として、研究協力者高野(北川)香子がフランス(エクサンプロヴァンス)において海外調査を実施した。このような調査は、イギリス議会文書の性格を考察し、有用な索引・資料集成を作成するうえでも必要不可欠である。(3)現在、上記地域の他に、中東、ラテン・アメリカ、トルコ、中央アジア地域などについての資料集成作成作業をおこなている。平成13年度末には、これらの資料集成を完成させる予定である。(4)これらの地域別資料集成と並行して、平成13年度は課題別の索引と資料集成に着手する予定である。