研究課題/領域番号 |
11551001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
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研究分担者 |
石川 邦嗣 医療法人, 東札幌病院・付属緩和医療研究所, 所長代理
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キーワード | 臨床論理 / QOL / インフォームド・コンセント / 緩和医療 / 告知 / 共同行為 / 価値選択 / 医療哲学 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続き、臨床倫理研究会を5回開催した。これは、医療・介護従事者と一般市民とが対等の立場で参加しつつ、臨床の事例や医療上の選択について、共同で検討する場であり、臨床倫理の事例検討の仕方についてモデル的に試行し、よりよい方途を探る場となる。 本年度は、予後の悪い癌で病状が急速に進む場合に、告知について困難が生じる事例について、また死期が近づいた患者に対して透析を行うことの是非について、在宅ホスピスケアを実践する中で農村部の死生観をどう理解していくか、等、医師の側からの問題提起について主として検討したが、これはいくつかの典型的な場面における倫理的に適切な対応を標準化するための作業として有効であった。 2.東札幌病院倫理セミナー、群馬県立がんセンター看護部の臨床倫理研究グループ、岡山市の並木通りかとう内科病院緩和ケア病棟等において、臨床倫理事例検討シートA(医療上の選択をする際のもの)の試用を進めていただき、改善の余地をさぐった。その際には、昨年度終わりに作った『臨床倫理学1』を活用した。 3.すでに倫理的な問題が起っている状況ないしはすでに終わったケースを振り返る状況で検討を進めるための「検討シートB」を開発した。これについては、関係者の間で共同の<物語り(ないしストーリー)>を定めるプロセスを基本として、どのようなチェックポイントを立てるかを検討した。また、患者・家族が自らの選択をするための道標となる「検討シートP」についても、市民の協力を得て、考えた。 4.事例検討をインターネット上で行うための方策の検討をほぼ終わり、新年度早々に公開する運びとなった。ことに、当事者のプライバシーを保護することが倫理的に必要なポイントとなろう。
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