| 研究概要 |
これまでに、14チャンネルの眼球停留関連電位の時間的変動を解析するシステムの第一号機の試作を行った。システムは,1.眼球運動を入力し、サッケイドの終了点を検出するユニット、2.脳波を入力しサッケイドの終了時点で加算平均するユニット、3.そのデータを一時保存するユニット、4.新たなデータが入力されると加算し、古いデータを捨てるユニット、5.眼球停留関連電位の内、特定の振幅値のデータを検出するユニット、6.データをトポグラフで表示するユニット等から構成されていた。
まず、試作システムの動作テストを実施した。その結果、事象関連電位のトポグラフマップのリアルタイム表示に成功した。これは世界で最初の成果である。このトポグラフマップを観察することにより、人の認知機能の変動を観察できる可能性が得られた。そのシステムを、ひょうごTLOを通じて、特許の出願を行った。現在、TLOを通じて、ある企業でその特許の実用化が図られている。その後インターフェイス等に問題点があったので改良を加えた。
被験者に、実験室内で照明や、刺激を変化させ、変化する環境下で注意の集中が必要な作業などをさせながら、無関連刺激を与えて注意の逸脱を起こさせ,その作業中の眼球運動と,`脳波を14チャンネル測定した。そのデータを、解析システムを用いて分析を行った結果、先ず照明条件の変化に伴ってトポグラフマップの変動する様子がリアルタイムで観察された。また、注意変動によるトポグラフマップのパターンの変化も見いだされた。特許出願との関係があったので、それらの成果の発表は保留していたが、現在、国際学会と雑誌への投稿の準備中である。
並行して、将来、このシステムを使用する重要課題となる人の注意や記憶に関して、多くの基礎研究を実施した。その成果を内外の学会、学術雑誌に多数発表している。
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