研究課題
基盤研究(B)
平成11年度の本研究は、平成11年4月から平成12年3月にかけて「情報システム投資研究会」を、東京八重洲ホール会議室および関西大学情報システム投資研究室において開催して、研究計画に参加している経済学者、会計学者、コンピュータ科学者の間で、4年にわたる研究の理論的基礎を固める作業から開始された。最初に情報システム投資の評価研究の先駆的業績との定評がある、Marilyn M Parker and Robert J.Benson著、宇都宮肇、高儀等、金子周介訳『情報システム投資の経済学-最適投資配分のためのプロジェクト評価-』(原本1988年、邦訳1990年、日経BP社)の詳細な検討を研究会出席者全員でおこなった。会計学者達は本書に展開されているプロジェクト評価システムに大きな興味を示した。しかし、評価項目については日本独自の項目が必要であるとの結論が得られた。次に、コンピュータ科学者達からは、成功確率は明確ではないが成功の果実が大きい情報投資の重要性が指摘された。最後に、経営学者達は、金融業に属する各企業の生産関数をミクロデータに基づき推計することが先決であると主張した。そこで、われわれはマクロ経済学者の業績を参考にしながらミクロ的接近をおこなうべきである、との結論に達した。このために、研究代表者である鵜飼康東は、アメリカ合衆国連邦準備制度事務局主任エコノミスト、Dan Si chel博士およびハーバード大学経済学部教授、D. W Jorgenson教授と討論を行い、彼等がおこなった情報産業の米国経済への経済効果の計測について検討した。われわれは、平成12年5月よりこの討論に基づき新たな理論的展開を図るとともに、銀行業・保険業の生産関数の推計を実施する予定である。
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