研究課題/領域番号 |
11553001
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
鵜飼 康東 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70098101)
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研究分担者 |
渡邊 真治 大阪府立大学, 総合科学部, 専任講師 (80254449)
須田 一幸 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00171273)
西本 秀樹 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70164605)
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キーワード | 金融危機 / 情報システム / 投資評価手法 / コンピュータ・ハードウェア / コンピュータ・ソフトウェア |
研究概要 |
平成13年度は、過去2年間のアンケート調査で蓄積した各銀行のデータを利用して、関西大学と大阪大学の統計学専攻大学院生の協力を受けて、統計解析を行った。 鵜飼康東と渡邊真治の2001年9月の共同論文では、情報システム資本の増加が銀行の発行済株式時価総額で測定した企業価値の増加にどの程度貢献しているのかを統計学的に検証した。このために、企業による偏りを排除しつつ産業傾向を把握する最新の統計手法であるパネル分析を採用した。 この研究の結果、他の資産の違いを調整した後にハードウェアとソフトウェアを合計して推計すれば、1円のコンピュータ資本の増加が約17円の企業価値の増加をもたらすことが判明した。 導出された数値は、マサチューセッツ工科大学のブラインジョルフソン教授が米国の製造業とサービス業で推計した数値である1ドルに対して約10ドルという値に近似した数値である。 鵜飼康東と竹村敏彦の2001年12月の共同論文では、情報システム技術に関連した無形固定資産、すなわち「ソフトウェアとシステム関連の資産」が銀行の企業価値にどのような影響を与えるかについて、証券取引法第24条に基づく有価証券報告書をもとにパネルデータ分析を行った。 その結果、従業員1人当たりのソフトウェア資産が1円増加すれば発行済株式時価総額の従業員1人当たりの額が約19円増加することが分かった。 以上の分析結果は、「日本金融業のIT技術は欧米に比べて劣っている」という通説を真っ向から打ち砕くものである。論文の数式部分は、2001年10月に一橋大学国立キャンパスで開催された日本経済学会秋季大会で報告され、討論者の岩村充・早稲田大学教授をはじめとするIT経済専門家に衝撃を与えた。また、日本語要約が『日本経済新聞』(平成14年1月22日)「経済教室」に特集され、反響を呼び、日本IBM、TIS、日立製作所から共同研究の申し出が殺到している。
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