研究課題
基盤研究(B)
我々はこれまで、215GHzから240GHzの周波数帯域でSISミクサの開発を行い、50K(DSB)の雑音温度を達成している。このミクサマウント内にはLO導波管が組み込まれており、LOパワーはSIS素子基板上のRFフィルターを通してSIS素子に供給される。我々はこのミクサをLO Path Built-in Mixer(LPBミクサ)と名付けた。LPBミクサの導入により、従来の方向性結合器やビームスプリッターを用いる方式に比べ、これらの影響による入力信号の挿入損がなく、よりコンパクトな設計と、SISミクサヘの安定したLOパワーの供給が可能となった。今回は、新しいLO系の開発及びLPBミクサの性能評価を、201GHzから210GHzの周波数域で行ったので、報告する。LO系の構成は、W-band(86〜115GHz)のGunn発振器の出力を2逓倍する方式をとった。逓倍器は、70GHz×3逓倍器の導波管をスケールダウンし、チョークを新たに設計して、製作した。この逓倍器は、バラクターダイオードにウィスカリングをするタイプのものであり、入出力側の導波管にはそれぞれバックショートがついている。これまでに5つの逓倍器の製作に成功し、実際にLPBミクサと組み合わせて実験したところ、SIS素子に十分なLOパワーが供給されていることがわかった。このときの受信器雑音温度は209GHzで100K(DSB)を達成した。さらに、サブバックショートをチューニングすることで、サイドバンド比を最高で10dB以上とれることがcomb-generatorを用いた測定で確認された。また、アラン分散最下点までの到達時間は、ビームスプリッター方式の時よりも2倍以上長く、とても安定したシステムであるといえる。2000年1月には、今回開発したLPBミクサおよびLO系を用い、実際にチリにおいて、大気中のオゾンを観測し、スペクトルを受信することに成功した。