研究課題
現在、国際的な協力の下に進んでいる大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)計画での使用を目的とする超伝導受信器の開発を行った。この干渉計は、チリの5000mの高地に、80台のアンテナで構成される予定である。これらのアンテナのカセグレン焦点面に約10周波の受信器を配置し、さらに受信器はシングルサイドバンドで動作することが望ましいとされている。我々はこれらの条件を満足するものとして、ストリップ回路でミクサを開発する方式を開発した。この受信器回路は「90度ハイブリッド結合器」、「180度ハイブリッド結合器」、「電力分配器」などの基本的なコンポーネントから構成される。これらの開発はまず、数GHzで動作するスケールモデルをガラスエポキシ基板に作る。次に2.5次元の電磁界解析CADソフトであるソネットで、そのスケールモデルの電磁界解析を行い、実際の測定結果(Sパラメータ、位相)と比較する。この方式で我々は、「90度ハイブリッド結合器」、「電力分配器」の開発に成功した。こうして電波天文学用SIS接合を開発するための「設計(マスクデータ入力)→電磁界シュミレーション→スケールモデル→マスク作成→作成プロセス」という流れが開発に有効であることを明らかにした。この手法はミリ波コプレナー(共平面)導波管の回路設計を可能にし、さらに上記のすべての高周波回路をワンチップで実現する端緒となるものである。
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