研究課題/領域番号 |
11554012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)
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研究分担者 |
枝松 圭一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (10193997)
松村 宏 セイコーインスツルメンツ(株), 基板技術部, 専門課長(研究職)
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キーワード | 近接場光学顕微鏡(SNOM) / フォトニックバンド / 共鳴効果 / SNOMの解像度 / 微粒子配列結晶 / ナノスケール光加工 / 表面における分子移動 / SNOMの低温化 |
研究概要 |
1.近接場光学顕微鏡(SNOM)を用いて、ポリスチレン微粒子2次元配列結晶の透過像の測定を行なった。この際に用いたポリスチレン微粒子は配列後に反応性酸素イオンエッチングによって配列位置は変えずに種々の大きさに削られており、そのフォトニックバンドを人為的に制御された試料である。用いる光波長、微粒子の大きさ、配列問隔の3者の関係によって、透過光像に変化が起きることが確認された。原因として、微粒子配列による近接場光のフォトニックバンド共鳴効果が期待される。 2.上記測定において、SNOM光ファイバープローブの先端開口の大小とその形状が透過光像とその共鳴効果の鮮明さに大きく影響することが確かめられた。これによりプローブの解像度を判定する手段としてポリスチレン微粒子2次元配列結晶の透過光像測定が有効であることが確認された。 3.SNOMプローブからの近接場光をサブミクロンサイズの芳香族ペリレン微結晶表面の1点に照射すると、100nm以下のスケールで厚さ数10nmの微結晶に貫通穴が空く(光加工できる)ことを発見した。光加工が可能な光波長と加工サイズの測定により、ペリレン微結晶の表面励起子が光励起されることが必要であることが確かめられた。緩和励起子の生成が表面分子に運動エネルギーを与え、その結果、分子の蒸発又は酸素の存在による光分解を引き起こしたものと考えられる。光照射後の表面形状の経時変化の観測によって、室温での表面形状変化が平均速度約1nm/分で起こることを初めて見出した。これらの結果は近接場光によるナノ加工というSNOMの新機能を実証するものである。 4.プローブの高機能化のために、プローブ制御の非光化による低温用SNOMの開発、磁性材料をコートした磁気・光プローブの開発を行ない、予備的な成果を挙げつつある。高機能化のためには更なる改良を今後も継続する必要がある。
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