本研究の目的はダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて10GPa以上の高い酸素圧下での試料合成の手段を確立し、合成された試料の物性評価をすることにある。平成11年度はYAGレーザーを購入し、レーザーヒーティングシステムの建設を行った。高圧発生にはDACを用いレーザーをDACの両面から照射する事により一様性の高い高温を発生する。DACに試料(原料)と酸素を封入するための装置を作製した。DACへの酸素の封入はセルを液体窒素温度まで冷却し、液化した酸素をそのまま封入する。そのまま室温まで温度を上昇させると体積一定のもと酸素が気化、膨張し約0.1GPaまで圧力は上昇する。室温でさらに加圧し、YAGレーザーによる直接加熱で高温高圧を発生する。同様の方法で液体窒素の封入も可能であり窒素とニオブとの直接反応よる窒化ニオブの合成は成功した。高圧酸素を用いた合成ではいくつかの試みを行っている。過剰酸素量制御によって絶縁体から超伝導までの性質を示すことが知られているLa2CuO4を原料とし酸素量制御を試みた。現時点では、他の方法による酸素量制御と比較してそれ以上の試料への酸素の導入は確認されていない。しかしながら、生成試料が極微量であることから評価法が非常に難しく、現在交流帯磁率、電気抵抗による評価法を確立しつつある。
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