水循環研究のための水の安定同位体比サンプリング解析システムの開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11554017
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 杉本 敦子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50235892)
• 研究分担者: 高橋 和誌 トヨタ自動車, FP部, 研究員 ; 辻村 真貴 愛知教育大学, 助教授 (10273301) ; 沼口 敦 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30237797) ; 藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307) ; 檜山 哲哉 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (30283451)
• キーワード: 水循環 / 水の安定同位体 / 水蒸気 / 土壌水

研究概要

水循環研究のための様々な水の同位体比のサンプリングと分析方法、また、解析の基礎となる実験系の準備を以下のように行った。
(1)係留気球の大気サンプリングが確実に可能となった。また、気圧計をサンプリング装置につむことにより、個々のサンプルを採取した高度を正確に記録することを可能にした。
(2)土壌水および植物中の水の同位体比分析のルーチン化。基本的には真空蒸留法を採用し、抽出から分析までのルーチン化を可能にした。また、土壌中に十分な水が存在する場合は、ポーラスカップによる採取も採用した。
(3)ライシメータによる土壌-植物-大気連続体の実験系の立ち上げ。生態学研究センターにシンビオトロンが設置され、これを用いて、室内での気温、雨量、湿度、照度条件をコントロールした実験が可能となった。ライシメータを作成し、雨量等の予備実験を現在行っているところである。予備実験が終了次第、ライシメータに砂を入れ、土壌水の同位体比プロファイルの形成過程に関する実験を来年度早々に開始する予定である。
(4)同位体モデルの改良を進めた。

研究成果

• [文献書誌] 高橋和誌、杉本敦子: "水の安定同位体比利用による「植物・植生と水の関わり」の解析"生態学会誌. 49. 59-62 (1999)
• [文献書誌] Hiyama,T.,Sugita,M.,Bergstrom,H.Molder,M.: "Wind speed measur、ements in upper and lower boundary layer to determine regional momentum fluxes"Agricultural and Forest Meteorology. 98-99. 145-158 (1999)
• [文献書誌] Tsujimura,M.Onda,Y.Fujiwara,T.Ito,J.: "Hydrometric and tracer approaches to investigate rainfall-runoff processes in mountainous basins with different geologies"Internatinal Associanon of Hydrological Sciences Publication. 258. 159-166 (1999)
• [文献書誌] Ohte,N.,Tokuchi,N.: "Georgraphical variation of the acid buffering of vegetated catchments : Factors determining the bicarbonate leaching"Global Biogeochemical Cycles. 13. 969-996 (1999)
• [文献書誌] Numaguti,A.,Taujimura,M.(他5名): "Large-Scale Hydrological Cycle in Tibet Revealed by Water Tracer Circulation Models and Isotope Observations"Proceedings of the 1st International Workshop on GAME Tibet. 1. 55-58 (1999)
• [文献書誌] Yanagisawa,N.,Fujita,N.: "Different distribution patterns of woody species on a slope in rebtion to vertical root distribution and dynamics of soil moisture profiles"Ecological Research. 14. 165-177 (1999)