研究概要 |
海生介形虫類の複数種を含む飼育システム(Mother Cultureシステム)と,単独の特定種を隔離飼育するシステム(Mono Cultureシステム)に関して,昨年度行った実験を改良し,今年度は以下のような実験を行った。 1.Mother Cultureシステム 通常のガラス水槽(20x33x23cm)中で,介形虫が棲息する浅海砂泥底の環境を再現し,飼育実験を行った。水温は一回り大きな別の水槽に飼育水槽を入れ,二重水槽形式とし,二水槽間の水を低温循環水槽とつないで水温をコントロールした。また,水質は底面濾過と外部浄化システムによって管理された。その結果,複数種の介形虫の継続飼育(6ヶ月以上)に成功した。さらに同装置を用いて,これまで飼育が非常に困難であるとされた遊泳性介形虫Vargula hilgendorfiiの継続飼育にも成功した。現在,岩礁域の環境を再現するシステムを製作,実験中である。 2.Mono Cultureシステム インキュベーター内で,特定種の隔離飼育を行い,それらの継続飼育を行っている。当初計画した自動海水循環・浄化装置についてはまだ完成していないが,継続して作業・実験を進めている。また,特定種(Xestoleberis hanaii,Robustaulira spp.など)の飼育個体を用いて,各種環境条件における形態学的・化学的な反応に関するデータが出始めた。特に,石灰質の背甲に取り込まれる微量元素(Mg,Sr)に関しては,水温(15°,18°,21°,24°,28℃の5段階)と塩濃度(34‰)において,幼体から成体に至る各ステージの殻の元素の取り込みについて調べられた。
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