研究課題/領域番号 |
11554028
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
吉原 経太郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 副学長 (40087507)
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研究分担者 |
RUTKOVSKI Pavel 東京インスツルメンツ(株), 計測部, 主任研究員
熊崎 茂一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (40293401)
青野 重利 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (60183729)
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キーワード | フェムト秒 / 赤外分光システム / 赤外超短パルス光 / 道伝信号伝達分子 / 遺伝転写制御 / 一般化炭素 / タンパク構造変化 |
研究概要 |
波長可変な赤外超短パルスを生成し、中赤外領域におけるサブピコ秒過渡吸収変化を高感度に検出する測定システムを開発した。これをヘムタンパク等の化学、生物学的に重要な研究試料に適用して性能を実証した。 増幅された800nmのパルスエネルギーの一部をサファイア板に集光し、フェムト秒白色光を得た。残りの800nmパルス光のエネルギーを、白色光とともに非線形結晶に集光して、100フェムト秒程度の赤外パルスを得た。1kHzの繰り返しのレーザーを用いて、1秒間の積算でノイズレベルを1ミリ吸光度以下に抑え、高感度・高速データ処理システムを構築することに成功した。偏光解消ダイナミックスも高精度で測定可能である。測定可能波長範囲は800-2800cm^<-1>である。これを用いて標準試料(ミオグロビンに結合した一酸化炭素(1945cm^<-1>))のスペクトルとフェムト秒光解離ダイナミックスの研究を行うことによってシステム総合性能を確認した。これらを含めた本システムの技術的な内容を専門雑誌「分光研究」に発表した。さらにこのシステムを用いた本格的研究として、遺伝子転写制御機能を有するヘムタンパクCooAの分子構造ダイナミックスの研究を進めた。これによって遺伝伝達信号分子(一酸化炭素分子)がヘムから光解離して再結合するピコ秒領域のダイナミックスの研究を行った。その結果、このタンパクの場合信号分子は複雑なタンパク自身の構造変化を伴いつつ、タンパク中のヘム分子に結合することが分かった。またその速度はミオグロビンなどと比較して桁違いに(2-3桁)速い(数100ピコ秒)こと、COが結合中に方向を変えないことなど多くの興味ある事実が明らかになった。以上のような実証の結果、本装置には一般性があると思われる。今後広く応用されることを期待している。
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