採材された線維芽細胞の初代培養から分裂停止期に至るまでの継代培養2代毎にサンプリングし、40の凍結保存細胞系列を作成した。得られた40系列の内36系列では通常の加齢パタンを呈した。残りの4系列は延命を見せた。内1系列においては継代数は150を越え、不死化細胞とみなされた。延命した細胞系列の内2系統においてガン抑制遺伝子であるp53に異常が見られた。加齢系列から延命系列への移行に細胞周期チェックポイント異常の関与が示唆された。不死化細胞系列においては、接触阻害の消失、足場依存性の消失が認められ、形質転換していることが示された。SV40の存在は確認されなかった。各サンプリング時に細胞の加齢形質として、テロメア長とテロメレース発現を解析したところ、テロメアの短小化が全てに観察された。テロメレースの発現はいずれのグループにおいても見られなかった。マカク細胞はin vitroにいて、ヒトと齧歯類の中間型を示すことが示唆された。これらのことから、マカク細胞の加齢に関するアウトラインを把握することがで、Ready to useの加齢研究資材の確立が成された。また、同一個体より同時に得られている不死化系列細胞は、遺伝的背景を共有するため老化と癌化(不死化)の比較研究の材料としても適している。
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