研究課題/領域番号 |
11555001
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村上 浩一 筑波大学, 物理工学系, 教授 (10116113)
|
研究分担者 |
鈴木 堅吉 (株)日立製作所, ディスプレイグループ, 嘱託研究員
北島 正弘 物質材料研究機構, グループリーダー
牧村 哲也 筑波大学, 物理工学系, 講師 (80261783)
|
キーワード | シリコン / 水素 / 水素分子 / ドーパントのパッシベーション / Si-H結合 / ラマン散乱 / ポリシリコン / 多原子空孔 |
研究概要 |
1996年以降にシリコン結晶中で3種類の水素分子を見い出された。水素分子とその形成機構に着目して、水素添加効果を調べ、その精密制御法を新たに編み出し、それに基づいてデバイス特性の向上を計ることが本研究の目的である。最終年度は初年度と2年度の結果をさらに進めるための基礎研究を行った。即ち、1)シリコン素子で問題となる水素原子処理に対するドナーおよびアクセプターの耐性について明らかにすること、2)高温でも安定に残存する多原子空孔型欠陥を水素原子処理を利用してSi-H及びH2の形成を検出することによって調べること、の2点に的を絞った。その結果、1)シリコン中のドナーであるP不純物は水素処理によって100〜120℃の範囲で不活性化するだけであるが、それに反しアクセプターのBに関しては水素との反応により様々なSi-H結合を含む欠陥が生成されることが判明した。Si-H-B複合体は100〜150℃の範囲で形成され、安定である。一般に、Si中のドナー、アクセプターは不活性化される温度範囲以外では水素に影響されないと考えられていたが、p型Siでは水素原子密度の高い処理に対しては十分に注意を払う必要のある現象を見出し、この問題点を初めて指摘することが出来た。また、2)6(または10)多原子空孔型欠陥が安定であると理論的に予想されているが、600℃まで安定な多原子空孔型欠陥を水素処理後のラマン測定によって示すことが出来た。以上、3年間で得られたこれらの結果によって、薄膜トランジスターで重要な問題となるシリコン中の水素の検出、定量がラマン測定で大略可能なことを示し、シリコン中での水素制御の可能性を明らかにし、ドーパントに与える効果等の問題点をより明らかにした。
|