HeCdレーザーを購入し、新規に液晶のコノスコープ像解析システムを構築した。HeCdレーザーの導入により、予定通り従来使用していたAr^+レーザーの場合より同じセル厚で見える干渉縞の数が約20%増え、それにより物性値の精度が増した。また予定のシステムに加え、カメラレンズ用のソフトフィルターを高速回転させて入射光をチョップすることにより、像に見られたレーザー光のコヒーレンスによると思われるスペックルパターンが解消され、非常にきれいな像を得ることができるようになった。これを基に反強誘電性液晶に見られる副次相におけるより詳細な光学異方性の電場依存性が測定できる様になった。またソフトについては、波形処理ソフトIgorによりデジタルビデオから取り込んだコノスコープ像の中心を通る水平・鉛直方向の強度を読みとるMacroを作成し、これを基に巨視的な光学的傾き角、屈折率異方性などの基本的な光学物性を得ることができるようにした。そして代表的な反強誘電性液晶MHPOBCのフェリ誘電相の低電界印加時の微小構造変化を捉えることに成功した。現在電場印加時の屈折率の2軸性の定量的な解析を実行中である。また、これと平行して4×4マトリクス法でのコノスコープ像のシミュレーションプログラムを作成するところまでに至っている。今後このシミュレーションに先程の物性値を取り入れ、相構造を仮定した像と実際観測された像のマッチングに関するプログラムを開発する予定である。
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