研究課題/領域番号 |
11555006
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (00225666)
|
研究分担者 |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
|
キーワード | 窒化ニオブ薄膜 / 極微フィールドエミッタアレイ / 高真空 / 電子放出特性 / エミッションパターン / 転写モールド法 / エッチバック法 / イオンビームアシスト蒸着 |
研究概要 |
平成11年度に確立した転写モールド法とエッチバック法を組み合わせた窒化ニオブフィールドエミッタアレイ試作方法によって作製したデバイスの電子放出特性を測定した。現実的なデバイスとして使用する環境での評価という観点から、従来の超高真空環境下ではなく、ターボ分子ポンプで排気した高真空環境下での電子放出特性を評価した。その結果、電圧印加初期においてはややリーク電流が多いものの、しばらく動作させることでリーク電流がなくなり、電子放出を確認することができた。動作電圧は初期段階で14V程度であり、電流電圧特性の再現性も良好であった。しかしながら、時々異常放電が生じ、その都度動作電圧が若干ずつ上昇した。最終的に20V程度の動作電圧となった。素子から5mm程度離れたところに蛍光体を設置してエミッションパターンを観察したところ、発光領域は比較的広い面積にわたっていた。これは電子ビームが広い発散角を持って放出されていることを示している。また、ゲート電流も比較的多かった。この理由としては、現在のプロセスではゲート開口が広いため、電子が広がって引き出されることが考えられる。また異方性エッチングによるモールド形成を利用したプロセスであるためか稜線付近で放出される電子が多く、素子の異常放電はこのようなところから生じている可能性もある。まだこのような問題は残っているものの、高真空領域で比較的安定に動作する現実的なデバイスが作製することができた。なお本研究成果を第13回国際真空マイクロエレクトロニクス会議にて発表したところ、最優秀口頭発表賞第二位を授与され、この研究の成果が内外で高い評価を受けた。このほか、さらにデバイスの特性改善を目指してモールド内の酸化膜上に形成する窒化ニオブ薄膜の特性改善に関する検討も行った。
|