銅(100)表面上のインジウム単原子層について、高分解能走査トンネル顕微鏡、角度分解光電子分光、低速電子回折による研究を行った。この系では、被覆率によっていくつかの構造が形成されるが、各々が、温度変化に伴って相転移を示す。本研究では、これらの相転移現象が、表面共鳴バンドが形成するフェルミ面のネスティングによるものであることを示した。通常の金属状態の下地の上で、表面層のみが電荷密度波状態になることを明確に示したことになる。これは、ナノデバイスの素材として、加工性に富む金属材料を用いることができることを示唆する結果である。 また、昨年度に引き続き、双探針走査トンネル顕微鏡についての開発を進めた。二つの探針の間の位置関係の制御について、いくつかの方法を検討したが、充分な安定性、精度が得られないことが分かった。引き続き、考察をつづけている。
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