研究概要 |
次世代の大容量光通信ネットワークを実現するためには,大規模な波長多重化(WADM)技術の開拓が必須である。特に、光通信システムの大容量化とネットワークの大規模化を極限まで進めていくと,大規模な多波長集積光源の開拓が不可欠と考えられる.本研究では,スーパールミネッセントダイオードの広帯域化と高出力化を行い,非線形光増幅器によるインコヒーレント光の雑音抑圧と狭スペクトル化の手法を導入して,百波規模の大規模な多波長集積光源を実現することを目的とした.今年度の具体的な研究成果は以下の通りである. ア)テーパ構造SLDを提案して,その長尺化によりレーザと同程度の高効率化とワット級高出力の可能性を示し,実際に,波長1.55mm帯でパルス駆動で1W,CW駆動で0.4Wの高出力動作を達成した.また,高歪GaInAs/GaAs量子井戸のテーパ構造SLDでは,波長1.2mm帯でパルス出力1.5W以上,CW出力0.5Wを実現した. イ)半導体光増幅器の非線形飽和出力特性を用いた,インコヒーレント光のスライス光の雑音低減の新しい手法を提案し,今年度は,その雑音抑圧効果を実験的に明らかにした.約12dBの利得飽和で10dBの雑音抑圧を実証するとともに,インコヒーレント光のスペクトルスライス光に適用し,2.5Gb/sの高速変調の伝送実験に成功した. ウ)上記の高出力SLDと光ファイバとの結合光学系を構成し,スペクトルスライス技術に基づく多波長光源の構成法を確立した.
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