網膜・脳機能に学んだ動き検出ネットワークの集積回路化研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11555013
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 米津 宏雄 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90191668)
• 研究分担者: 大島 直樹 山口大学, 工学部, 講師 (70252319)
• キーワード: 網膜機能 / エッジ検出 / 局所明暗順応 / 広域明暗順応 / 外網膜 / 内網膜 / 動き検出 / 集積回路

研究概要

視覚情報処理は、現在のコンピュータが最も苦手としており、逐次演算が膨大なために実時間処理は不可能と考えられている。本研究では、生体の視覚情報処理機構に学んだ、高度な網膜機能と二次元動き検出ネットワークの統合を目指している。本年度は、局所明暗順応機能を有するエッジ検出ネットワークの集積回路化と二次元動き検出ネットワークの基本回路の探索を進めた。
局所明暗順応機能については、これまでの広域明暗順応機能を可能にしたMOSチャンネル抵抗に、画素毎にチャネル抵抗が変わるMOSトランジスタを加えたシンプルな回路を考案した。その結果、同一画面内に2.5桁の明るさの変化があっても、明所、暗所に応じて受容野の大きさが変わり、画像のエッジ検出ができることが回路シミュレーションによってわかった。画素配列が一次元の集積回路を学内で試作し、シミュレーション結果に一致した実験結果を得た。その上に立って二次元ネットワークを設計し、東京大学大規模集積システム設計教育センター(VDEC)を介してチップの試作を行った。次年度早々に評価を始める。
二次元動き検出ネットワークについては、昆虫の動き検出機能に学んで、対象物の網膜上での拡大速度を検出するモデルを考案し、その基本回路の検討を始めた。また、内網膜機能のモデル化とその回路化に着手し、動き信号の生成を試みた。これらの基本回路をスマート化して、二次元ネットワークの集積回路化を進める。

研究成果

• [文献書誌] M.Ohtani,H.Yonezu,他: "Analog MOS IC Implementation of Motion-Detection Network Based on Biological Correlation Model"Japanese Journal of Applied Physics. (to be published.). (2000)
• [文献書誌] T.Asai,M.Ohtani 他: "Analog MOS Circuits for Motion Detection Based on Correlation Neural Networks"Japanese Journal of Applied Physics. 38・4B. 2256-2261 (1999)
• [文献書誌] T.Asai,M.Ohtani 他: "Analog Integrated Circuits for the Lotka-Volterra Competitive Neural Networks"IEEE Trans.on Neural Networks,. 10・5. 1222-1231 (1999)
• [文献書誌] T.Asai,M.Ohtani 他: "Analog MOS Circuit Systems Performing the Visual Tracking with bio-inspired simple networks"Proc.of the 7th Int.Conf.on Microelectronics for Neural,Fuzzy,and Bio-Inspired Systems. 240-246 (1999)
• [文献書誌] M.Ohtani,T.Asai,他: "Analog Velocity Sensing Circuits Based on Bio-Inspired Correlation Networks"Proc.of the 7th Int.Conf.on Microelectronics for Neural,Fuzzy,and Bio-Inspired Systems. 366-373 (1999)
• [文献書誌] H.Yonezu,T.Asai,他: "Analog Motion Detection and Edge Detection Circuits Based on Biological Systems"Proc.of The Int.Symp.on Future of Intellectual Integrated Electronics(ISFIIE). 399-400 (1999)