平成11年度は、最初に安定性の高いソリッドエタロンと高感度CCD検出器を組み合わせて非掃引型ファブリペロー干渉計を構築した。次に高分解能のブリルアン散乱測定を行うために周波数安定度の高いLD励起YAGレーザーを励起光源として組み込みブリルアン散乱測定系を完成させた。次に、現有の機械走査型のサンダーコック型5バス・ファブリペロー干渉計のスペクトルを基準として、散乱光に対する感度、取り込んだレーリー散乱とブリルアンサン散乱光からなるCCD画像の線形化、分解能に関連した装置関数等の処理が最適にできるようにコリメーター等の光学系の調整等を行った。その結果、自由スペクトル域30GHzのエタロンを用いて、90度散乱の実験によるブリルアン散乱スペクトルにおいて70以上のフィネスを得ることができた。平成12年度は、掃引型のタンデムマルチバス型ファブリペロー干渉計に匹敵する高分能を得るために様々な改良を行った。コリメーターの高精度化、収差の少ないレンズの使用、ソリッドエタロンの前にアイリスを配置して迷光を減らす、より高い反射率のソリッドエタロンの導入、周波数安定度のより高いリングキャビティーをもつグリーンレーザーを励起光源として導入する等の改良を行った。その結果として昨年度より格段に高い120を越えるフィネスが得られた。実際この装置を用いて、低分子の中間ガラス形成液体のひとつであるエタノールの液体状態、過冷却液体状態におけるブリルアン散乱の温度依存性を詳しく測定し、遅いβ-過程過程の挙動を明らかにし、またその活性化エネルギーを正確に決め。また近い将来、この干渉計を用いて微小試料や微小領域の測定を可能にする顕微ブリルアン散乱へと機能を拡張するために、顕微ブリルアン散乱の光学系の研究も併せて行い、不均一性の大きいリラクサー強誘電体単結晶に応用してそのヘテロ構造を明らかにすることができた。
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