研究概要 |
本年度は最終年度であり,昨年度の研究成果を踏まえ以下の項目の研究を実施した。 1.バンブー配線における断線予測法の構築(研究項目(IV))昨年度実施の研究項目(III)「バンブー配線の断線過程の調査」で明らかにしたバンブー配線の断線過程を,エレクトロマイグレーション損傷の支配パラメータを用いて数値的にシミュレートする手法を確立した。ここでは,多結晶配線の場合と同様に予測対象の配線を要素分割し,各要素で計算した同パラメータ値に基づいて各要素の厚さを減少させることにより断線過程をシミュレートした。また厚さの変化に応じて要素の電気伝導率,熱伝導率を変化させた数値解析を行うことによりボイドの成長に伴う配線の電流および温度分布の変化を考慮した。以上のシミュレーション手法に基づき,バンブー配線における寿命および断線箇所の予測法を構築した。 2.バンブー配線断線予測法の実験検証(研究項目(V)) 昨年度実施の研究項目(II)「多結晶配線断線予測法の実験検証」にならい,電流・温度が二次元分布を呈する折れ曲がるバンブー配線を想定した数値シミュレーションを行い,寿命および断線箇所の予測を行った。一方で,シミュレーションと同様の配線形状,使用環境の破断実験を行った。実験に先立って直線形状配線を用いた加速試験を行い,エレクトロマイグレーション損傷支配パラメータの計算に必要な薄膜物性に関する諸量を決定した。また,電界放出型走査電子顕微鏡のECCモードによる観察から使用する配線の結晶粒組織がバンブー構造であることを予め確認した。寿命および断線箇所に関する予測と実験結果の比較を行い両者とも良好に一致することを示し,本予測法の実験検証を行った。 以上,2年継続により計画した研究項目を全て実施し,本研究課題の目的を達成した。
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