研究概要 |
近年,電子機器の発展に伴い高密度実装技術が重要な位置を占めるようになり,はんだによる接合部がより確実で信頼性が高いということが第一の条件になってきている.特に近年の携帯用電子機器の著しい発展のなかで,それらの落下衝撃時における強度評価があらたなる研究課題として浮かび上がってきた.本研究では試験,有限要素法解析により電子デバイスはんだ接合部の衝撃破断挙動を解明した. はんだ接合部の破断挙動解明のために,BGAはんだ接合部と鼓型はんだ接合部のそれぞれについて引張方向破断試験を行ない,はんだ接合部の破断挙動を明らかにした. はんだ接合部試験片を用いた衝撃破断試験を行ない動的な負荷に対するはんだ材料特性を取得することを試みた.試験機は本研究室において設計した落錘式のマイクロ構造用衝撃試験機で,非常に微小な時間幅の中で結果を検出しなくてはならないため1MHzの高応答周波数に対応する計測システムを使用した. 衝撃強度を有限要素法解析によって評価するため,携帯電話を模して筺体で囲んだBGAパッケージを有する基板の簡易解析モデルを作成し,自由落下をシミュレートした動的解析を行なった.さらに簡易評価のため静的解析による動的解析の代用手法を提案した.その結果,BGAはんだ接合部・基板・パッケージが衝突直前に持つ運動エネルギと衝突後にそれらが吸収するエネルギが等しくなるということを仮定することによって動的解析の結果を静的解析によって再現できることを示した. 実構造のBGAアセンブリ試験片を用いて繰り返し衝撃負荷に対する強度評価を行なった.その結果,衝突速度と破壊サイクル数の関係を明らかにし,パッケージの実装位置がはんだ接合部の衝撃破壊寿命に与える影響を評価した.また,有限要素法解析を行ない衝撃負荷に対するはんだ接合部の強度を評価パラメータを引張応力として評価した.
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